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若手演技派女優の注目株のひとり、成海璃子(18)が新境地を開拓しつつある。14日にスタートしたフジテレビ系ドラマ「BOSS」(木曜後10・0)で、高飛車な天才帰国子女・黒原理香を快演。痛快な毒気を弾けさせている。「ナイーブな美少女」という従来のイメージからの脱皮を支えるのは、孤独や衝突を恐れないタフな精神力。そして、「圧倒的じゃないと意味がない」と言い切る、演技に対するストイックな姿勢だ。
ドラマ収録中の成海を見て、驚いた。トレードマークだった長い黒髪が、ウエーブのかかったパーマに。Tシャツにデニムのミニスカート姿が奔放な空気感を漂わせる。
「これは役柄に合わせた衣装です。でも、割と普段着に近いかも。このDr.マーチンのブーツは普段でもよく履いていますし」
そういって、パンクロッカーご用達の編み上げブーツに目をやる。イメージを裏切るファッション同様の意外な趣味も明かした。
「家では、よく1人でギターを弾き語っています。音楽はフォークからパンクまで、何でも聴きますね」
耳に心地よいヒット曲には興味がない。お仕着せのトレンドを拒否し、自分なりの審美眼を培ってきたのは、5歳で芸能界入りした境遇とも関係があるのかもしれない。
「『女優さん』とか言われて持ち上げられるのがすごくイヤだったんです。高校生の時は、そのことに過剰反応した時期もありました。あくまでも、現場の『俳優部』という一部門で仕事している感覚ですから」
浮き世離れした世界で、自分を見失わないように必死だった。かつては「インタビューで勝手に『(笑)』とか書かれるだけで腹を立てていた」という。
「エネルギーを使って話しているのに、相手に伝わらなかったらガッカリする。芝居でもそう。自分からビューッといってガチンッて正面からぶつかりたい。居心地が悪いのが好きなんです。緊張感がないと『ぬるい現場だな』と思ってしまう」
だが、最近ある変化があった。過剰ともいえる防衛本能から解放され、より自然体で役柄に向き合えるようになってきたという。転機は、5月14日公開の主演映画「少女たちの羅針盤」(長崎俊一監督)での経験だ。
「スタッフさんともたくさん話をするようになり、以前ほど構えなくなりました。今までは、年上の方とばかり仕事をしてきたから、同年代の人たちと共演できたのが大きかったのかもしれません」
今春、高校を卒業。モラトリアムの季節も過ぎ、より高いプロ意識に目覚め始めた。
「今までは待ちの姿勢でいることもありました。でも、これからは前に出ていかないといけないと思っています。もっと自分の可能性を発揮したい。止まりたくないんです」
一皮剥け、表現欲もどんどん湧いてきている。
「圧倒的な演技をみせたい。そうじゃないと意味がないと思う」
その姿勢はどこまでも貪欲だ。
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