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第3话日饭感想 完全剧透 但是很好玩
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「チェイス~国税査察官」第3話 パーマネント・トラベラー
派手じゃないけど、ジワリと迫ってくるものがあって、凄みを感じるドラマ。
放映中のドラマでは、このドラマこそが「怪物くん」だと思っています。
今回は政治家の脱税をあばく物語が含まれているのですが、現実社会における政権トップへの当て擦りや強い警句も見え隠れしていた気がしました。
【 まさか、自分から車道に 】
車道に飛び出した春馬の娘・鈴子(水野絵梨奈)と接触事故を起こし、弾みで道路脇にガシャンと激突し、病院送りになった村雲(ARATA)
どうやら、警察の検分で、過失は鈴子側にありということになった様子。
娘の事故を聞いて慌てて病院にやってきた春馬(江口洋介)は、鈴子を案じて「まさか、自分から車道に・・・」と自殺を疑う。
これに鈴子は「だったら、どうなの」と冷え切った言葉を返す。
水野絵梨奈が、屈折した心をうまく表現していて、鈴子の冷たく潤んだ目が怖いんです。
で、東アジア航空が開催した合同慰霊祭のときに鈴子が落とした生徒手帳などをたどって、春馬が国税査察官であることを知った村雲は、この機会を捉えて春馬に近づこうとする。
村雲は、「広川」と書かれた偽の名刺を春馬にに手渡し、自分も同じ墜落事故で弟を亡くした遺族だと名乗り、言葉巧みに春馬との関係を築く。
航空機墜落事故の背景を追っているはずの春馬を、脱税コンサルタント・村雲が搦め取ろうとする逆のベクトルが走り始めました。
【 聖域なき戦い 】
経済産業大臣・紺野太志に、脱税の疑いが浮上。
紺野事務所の建物に掲げられた横断幕には大きな字で「クリーンな政治」なんて宣伝文句が・・・。(よくある風景であります)
10年ほど前にも、国税は紺野を追っていたが、『上からの圧力』で、立件することができなかった因縁の相手。
(6億円の贈与税を”後払い”で済ませた資産家総理についても、『上からの圧力』によって、国税局は脱税事件を見逃したのかぁ?)
当時、紺野を内偵していた国税査察官・井坂敏(通称・びんさん:石橋蓮司)から「査察が叩く悪に聖域があっては駄目だ。巨悪に屈したら、その使命を失う」と教えを受けたことが、春馬の正義感の原点になっている。
ところが、今では、”びんさん”は立場を逆転させて紺野経産大臣の税務コンサルタントになっている。
探りを入れる春馬に、「紺野大臣の申告にやましいことはない」と”びんさん”。
(現実社会でも、つい先ごろ、検察審議会で起訴相当の議決が出た大物政治家が「なんら、やましいことはありません」というセリフを口にしていたような・・・)
政治家の脱税事件が絡むと、ドラマと現実社会の境目が分からなくなりそうです・・・。
【 君たちは夢を見ろ。それを俺が現実に変える 】
国税当局は、紺野太志の脱税スキームに絵画取引が利用されていることをつかんでいる。
画商である海江田という男が、どこの国にも定住せずに、納税義務が発生する前に転々と国から国へ渡り歩くパーマネント・トラベラー(PT=終身旅行者・永遠の旅行者)として課税を逃れ、絵画の売買に絡む紺野太志が裏金を手にする仕組みです。
”びんさん”が、周到に準備したスキームです。
そのころ村雲は、檜山(斎藤工)と檜山の妻になった歌織(麻生久美子)に「君たち二人もPTになればいいんじゃないか」と、脱税指南。
檜山は課税を逃れるPTについて「夢のようだなぁ」と、まさに夢見心地の顔つき。
村雲「君たちは夢を見ろ。それを俺が現実に変える」
なんか、ハードボイルド風のセリフで、SO COOL!
【 それは蛇の道や 】
檜山と村雲がPTについて語っているところに、檜山の父で財界の大物・檜山正道(中村嘉葎雄)が現れる。
父・正道はおもむろに「あんさん、お金好きでっか?」と村雲に問いかける。
村雲が、無言でいると「ほな、こう聞きましょうか。お金はキレイなもんでっか?」と父・正道が問い直す。
村雲は「触ると手が汚れるものだと思います」と無機質な表情で答える。
父・正道「お金が入って汚れる人もあるし、手を汚してお金が入ってくる人も・・・」
間髪おかず、村雲「息子さんの手は汚しません。私が汚します」
父・正道「ほおぅ、おもろいコト言いはるなぁ、村雲はん」「それは蛇の道や。人にあらずの蛇が通る道や。何を好んで、そないな道を通りはる?」
これに「はじめから、この道しかありませんでした」と答えた村雲の、無表情でマネキンのような顔が怖い。
父・正道は飄々と「怖い人やなぁ」と呟く。
若い村雲と、老獪な檜山正道のやりとりは、今回の見所の一つでした。
一言一言に、インパクトが有って、凄い会話だったと思います。
で、妙に印象に残ったのは「お金が入って汚れる人もあるし、手を汚してお金が入ってくる人も・・・」というフレーズ。
ヌケヌケと『恵まれた家庭に育ったものですから』と、妙な言い訳をしていた宰相は、「お金が入って汚れる人」の一人なのかなぁ?
秘書3人に執拗な隠蔽工作をさせて、政治資金から透明性を失わさせた与党大幹事長は「手を汚してお金が入ってくる人」の方かな・・・なんてことを考えちゃいました。
また「人にあらずの蛇が通る道」ってのも、石川議員らが不動産売買を通じたややこしい手口で『陸山会』の会計処理をしていたことを思い起こすフレーズ。
そこで、小生は石川議員らに問いたい。
やましいことが無いなら、誰が見ても内容が分かるようなキレイな会計処理をすればいいのに、「何を好んで、そないな道を通りはる?」と・・・。
(あくまで、小生がいだいているイメージでして、宰相も大幹事長も法的には手錠がかかったわけではないことを申し添えておきます)
【 だったら、いっそ 】
自動車事故がきっかけになって、春馬は村雲を酒に誘う。
このことを歌織に語る村雲は、国税査察官である春馬から「有益な情報を引き出せるかも知れない」と・・・。
歌織は「査察官は任務に忠実で、自分の仕事に疑いを持たない」と、村雲に注意喚起。
しかし村雲は「疑いを持てない人間ほど、一度崩れたら、脆いもんだ。」
いつも無表情な村雲の顔が、かすかに緩んだように見えた。
「疑いを・・・」というフレーズも、SO COOL!
で、酒を交わした、春馬と村雲
村雲の義手に気づき、「ずいぶん苦労なさったんでしょうね」と春馬
村雲は「どうしてなんでしょうね。”悪い奴ほどよく眠る”というじゃないですか。真面目にコツコツ生きてる者ばかり悲しい目に合う・・・だったら、いっそ・・・いや、何でもありません」と、話し始めた言葉の結論を言い淀む。
「だったら、いっそ」に続くものこそが、脱税に血道をあげる村雲の人生なのかな?
酒を飲み終えて別れ際。春馬は「あの事故のことで、なにか背景のようなこと聞いたことありますか?」酒の勢いもあって、気ががりを口にしてしまう。
背景そのものである村雲の表情が、ほんの少し曇った。
【 東京国税局に激? 】
紺野大臣の脱税を暴くために、画商の海江田を内偵するも、決め手をつかむことができず、春馬は焦燥感を抱く。
紺野を内偵したいという春馬を、のらりくらりとかわす品田次長(奥田瑛二)
春馬は「そんなにクビが飛ぶのが恐いですか!!」と声を荒らげてしまう。
さらに春馬は「相手が誰であろうと、取るべきものは取る。それが査察でしょ!!」
なんかね、このセリフ、春馬に語らせているけど、脚本の坂元裕二氏が、<鳩山実母献金事件>を挙げることができなかった東京国税局に激を飛ばしているように聞こえて仕方ない。
また、国会で「居眠りしているように見えた」と記者から指摘を受けた鳩山総理の姿と、村雲の「悪い奴ほどよく眠る」というセリフも符号するんですよねぇ・・・。
坂元裕二氏、政治に怒ってる?
話をドラマに戻して・・・。
消極的だと思われた品田も、本当は紺野大臣を追い詰めるため、毎夜、資料を隅から隅まで読みあさっていた。
新谷統括官(益岡徹)からこのことを聞いた春馬は、品田に謝罪。
品田「紺野の脱税はこっちで抑える。お前はなんとしても海江田のスキームを崩せ。査察の叩く枠に聖域はない」とキッパリ。
これもやはり、”聖域”の中で、贈与税6億円を脱税していた首相に手を出せなかった東京国税局を揶揄しているように聞こえちゃう。
【 どんどん悪い方に・・・ 】
紺野大臣の脱税事件に迫った春馬たちが、”びんさん”や海江田を家宅捜索する。
”びんさん”が「おまえら聞かされていないのか」とつぶやき、テレビをつけると、紺野大臣が”収賄事件”で逮捕というニュースが放映されてる。
「お前ら、検察に抜かされたんだよ」
思わず春馬の顔が硬直する。
尊敬していた”びんさん”が、悪に手を染め、紺野を検察にさらわれた春馬は、ムシャクシャして、遺族仲間だと信じている村雲=広川を酒に誘おうと電話する。
村雲は今から来客があるとしながらも、「どうかしました?」「上司のこと?」と春馬に話を促す。
「信じていたんだが・・・」と春馬は”びんさん”のことを仄めかす。
村雲「それは、人が変わったということですか?」
春馬「広川さん、どう思う、最近の世の中、なんか、おかしくないかなぁ」「どんどん、どんどん悪い方に行ってるって言うか、人の心みたいなものが壊れているって気がするんだ。俺の方が間違ってるんだろうか?」
春馬が口にした『最近の世の中、なんか、おかしくないか』『どんどん悪い方に行ってる』って、実社会で実感すること。
政権交代で、良い方向に進路転換出来るか、あるいは、せめて悪い方へ向かう速度が緩まると期待されたのに、むしろ、悪い方に加速してるような・・・。
坂元裕二氏、政治に怒ってる?
【 盗まれた街 】
春馬は間違っていないと言う村雲が、自説を披露しはじめる。
「春馬さん、この世界はもう、あなたの知ってる世界じゃないんだ」
春馬「えっ?」
村雲「<盗まれた街>という話を知ってますか」
<盗まれた街>は、小生も若き日に読んだジャック・フィニイの傑作SF小説で、もはや古典の域に入るのかな・・・。
村雲が言葉を続けます「男がある日気づくと、妻が妻でなくなってる。我が子が我が子でなくなってる。外見も声も同じなのに、誰もが皆、明らかに別人だ」
春馬「それは、あれだろ、宇宙人とか、SFとか、そういう話だろ」
小生の考えすぎなのかもしれないんだけど、このセリフは「それは、SFとか、そういう話だろ」でも充分意味が通ると思う。
なのに、この本を未読である春馬が、わざわざ”宇宙人”に言及したのは、総理大臣が宇宙人と呼ばれていたことに関係がある気がするんです。
脚本家・坂元裕二氏が、セリフに隠したメッセージじゃないかと・・・。
で、村雲は「あなたに起こっていることと同じだと思いませんか?」
ピンとこない春馬は「何が?」
村雲「あなたは、真面目に働いてきた。正義感を持って、社会のためになればと、自分を理して生きてきた」
春馬「うん」
村雲「しかし、それを認める人は社会からいなくなった。世間は官を叩き、役人を悪の根源のように罵る」
『官を叩き、役人を悪の根源のように罵る』という部分にも、政治主導・官僚排除を掲げる鳩山政権を連想させる。
これも、脚本家・坂元裕二氏が、セリフに隠したメッセージ?
【 あなたにはこの世界を憎む権利がある 】
村雲「・・・報われなかった善意や正義感の裏側に、同じだけの悪意が根をはっているんだ」
春馬「どういう意味だ?」
村雲「春馬さん。本当はあなた、奥さんを亡くして、娘さんを見失って、こんな世界は滅びてしまえばいいと思ってるのではありませんか。もう我慢するのはやめましょう。あなたにはこの世界を憎む権利がある」
ついに、このドラマのキャプションである『あなたにはこの世界を憎む権利がある』が出ました!!
村雲の言葉を耳にした春馬の頭に、妻・雪恵(木村多江)の顔、墜落した飛行機を焼き尽くす炎、そして娘・鈴子の顔がフラッシュバック。
春馬にはお構いなく「人を待たしていますので、失礼します」と電話を切り、ツーーーツーーーツーーー。
春馬は、手にしていたビールの缶を、グシャリと握りつぶし「グワァ~~~」と咆哮。
村雲に、精神を侵された?
ジャック・フィニイの『盗まれた街』だけではなく、ロバート A.ハインライン『人形つかい』も、連想してしまいそうな展開です・・・。
それにしても、春馬と村雲の会話は濃い。
【 鈴子が!!! 】
薄暗い事務所で、村雲がコーヒーを淹れて客に出す。
客の顔が映ってびっくり。鈴子!!!!
村雲が「それで、資金はあるのかな?」
鈴子が通帳とハンコを差し出し、「母の保険金です」
村雲は「じゃあ、まず、海外に取引口座を開く方法を教えるよ」と言って、鈴子に書類の束を手渡す。
あちゃ~~~。
鈴子、村雲になついてるぞ。
父への反発心が、鈴子を村雲へいざなった?
村雲、何を考えてる?
【 生きていたことが無い男 】
喫茶店。春馬がジャック・フィニイの『盗まれた街』を読んでる。
「・・・あの男の死体が死んでいないと知っているからだ。死んでいないのは当然だ。なぜなら、あの男の体は生きていたことが無いのだから・・・・」
脚本家・坂元裕二氏が考える『生きていたことが無い男』って、村雲を指すんだろうか?
喫茶店に、旧知の”自称記者崩れ”という男(岩松了)が現れ、「墜落した飛行機は東アジア航空が所有するものではありませんでした」と情報を語り始める。
春馬がこの男に調査を依頼していたのだ。
男が調査を続け、ついに、檜山が経営する人材派遣会社ライトキャストが飛行機をリースしていたことを突き止め、墜落で多額の違約金を手にいれたことを春馬に知らせる。
一方、村雲と会っていた鈴子は、自室のパソコン画面で株のチャートを見つめてる。
そして、発注ボタンをクリック。
というわけで、村雲と春馬の人生が交差し、春馬-鈴子-村雲のトライアングルもできて、ハラハラドキドキ。
脚本家・坂元裕二氏によるストーリーがイイ。(日テレ系「Mother」も坂元裕二氏なのかぁ・・・。)
『ロングバケーション』の脚本家・北川悦吏子さんが、フジ「素直になれなくて」で苦戦しているのと、好対照かな・・・。
江口洋介、ARATA、麻生久美子、水野絵梨奈らの演技もイイ。
このドラマ、ジワッと染みて来るような魅力があります。
[ 本帖最后由 隐身衣 于 2010-5-5 00:18 编辑 ] |
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